2015.02.21 2月21日(土)仏教講演会開催
2月21日(土)午後2時より、荻窪駅上のタウンセブン8F第1&第2会議室において、杉並稲門会・企画委員会主催「仏教講演会」が開催された。
当日は幾分暖かく穏やかな晴れに恵まれ、久保田貞雄会長をはじめ67名の方々にご参加いただいた。
講師は大谷哲夫先生(曹洞宗・長泰寺住職)。第一文学部(S38卒)からマスタ―までは早稲田大学、ドクター以後は駒澤大学という先生は、学長・総長も歴任。現在は「曹洞宗総合研究センター」所長や都留文科大学理事長、「仏教稲門会」東京幹事長をつとめておられる。 演題は「徒に百歳生きるはうらむべき日月なり」。これは道元禅師渾身の大著『正法眼藏』「行持(上)」巻の一節をアレンジしたものである。
司会の嗣永典子企画委員が開会宣言と講師紹介を行い、いよいよ大谷先生のご講演が始まった。 先ずは学生時代の思い出話から入られ、昨今のいわゆる早稲田スポーツの分析(?)などへも話題が及ぶ。 本題に入ってからは、配布資料をもとに、「百歳」とは「長生き」という意味であること、葛飾北斎の述懐にもあるように〃完成〃はなかなかせぬこと、何事も時間をかけねば円熟せぬこと、だからこそ一日一日の着実な積み重ねこそが大事であること、等々語られた。 また、昨今では時間を掛けてジックリ向き合い取り組むこと(の重要性)が軽視されていると警鐘を鳴らされ、 しかしただ漫然と時間を掛ければいいというものでも無くその〃掛け方〃が問われていることを提起された。
最後に、いただいた命を大切に全うさせることの意義を、道元禅師示寂前後の消息から説かれた。 この後「質疑応答」(三人の方から挙手あり)が行われ、関連した話題で大いに盛り上がるなど、ご講演本体と変わらぬ状態が展開された。最後に田口佐紀子企画委員長より御礼を申し上げ、無事に終了となった。
最初からかなりリラックスした感じに見受けられた大谷先生。数々のご著書も専門書から入門書まで、あたかも『万葉集』の如き守備範囲の先生のこと、話題も多岐にわたり、会場も熱気に包まれるなか、あっと云う間の90分間であった。
私個人的には、自らへと繋がる夥しき「ご縁」に改めて想いを馳せ、一日一日を大事に大切に生きることが、かかる夥しき「ご縁」を十二分に活かしきることになる――という厳然たる事実を強く意識したことであった。 大谷哲夫先生、ならびに当日ご参加いただきました皆々様へ、重ねて厚く御礼申し上げます。
(嗣永典子)